ゆかりちゃんマンハウス

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お会計は「偽らざる自己」との対話イベント

【これは大昔の下書きに加筆をし、世に出したものです。】 

 

雑記です。

 

 昔っから、買い物が苦手だ。というのは、別に地域最安値を見極められないとか、ネットで検索して一番上に出てきた高評価レビューを信じた結果クソみたいな商品を掴まされるとかではない。「レジに自分が欲しいものを持っていく行為」が苦手なのである。私にとって、自分の意志で欲し、自分の意志で買い物カゴに入れたものは、全てエログッズに等しいくらい後ろめたいのだ。自信がない。目を瞑ってレジ打ってくれ。

 

 ほぼ全ての人間が、必要なものだけをカゴに入れ、清ました顔でお会計を済ませるだろう。そして、それに対して何も感じない。そうなのか?私はこの一連のプロセスは「自己開示」であると捉えている。「ポイントカードをお持ちですか」「○○円です」「「ありがとうございました。」」この、偶然にもプロアクティブと全く同じ3ステップの行間には、心理戦が潜んでいるような気がしてならない。真鍋かをり「感謝感謝です。」まで含むなら、4ステップになってしまうが、いまはそれは問題ではない。私は人間。レジに立つのも人間。そうなってくるとおそらく、無言のコミュニケーションがあるはずである。何かを感じずにはいられないのが人間なのだから。

 

 私の過去を例にする。『ブレイド2』と『3』が見たすぎてTSUTAYAを利用したときのことである。「アクション」のジャンルに行き、レンタル可能であることを確認し安堵する。ついでに、ずっと見たかった『カウボーイビバップ』もこの際だと思い、全話分カゴにぶち込んだ。目的は達成されている。普通はこのままレジに行くだろう。だが私は違う。2022年に『ブレイド』をレンタルする奴など、某ネットミームの影響を受けた奴しかいない。否定はしない。ただ、そう思われるのが癪なのだ。いや、これは正確ではない。気恥ずかしさだ。店員に「かましてる」だとか「冷やかし」だとか思われてしまっては、今後この店が使えなくなる。『カウボーイビバップ』はどうだ?これには”店長のイチ押し”と記されていたので、大義名分は用意されていた。選定基準が自分の意志だけではなくなったという他責のもと、カゴを軽く感じた。こうなると劇場版『天国の扉』までカゴに入れてしまえる。カゴの中を見る。【『ブレイド』2本に『カウボーイビバップ』10本】の計12本。少し考える。これは中和しなければいけない。アクが強すぎる。適当な洋画を入れるのかなんなのか、とにかく言い訳として「コンセプト」を用意したくてソワソワしてくる。この状態は自己の露呈であり、「いや、そういうコンセプトの上での選出だから。」とハッタリをかますにはあまりにも薄着である。

 

 結局、見たくもないものを選びたくもないという気持ちが勝つのでただ1時間、パッケージ裏を見て選んでいるふりをしていただけになる。

 

 無駄な1時間だったのか?違う。無駄とは、結果にすぎない。この戦いを経て、私はほんの少し強化されている。今日は余計なものを買わなかった。普段なら、例えばコンビニでソフトクリームが食べたくて入ったとしてもソフトクリームだけを持っていくことができない。一番酷いときは、「いまから昼食なんです」というコンセプトを自分に用意しないとレジに行けない気がして、まったくお腹が空いてないのにソフトクリーム+お茶(普段ならジュース)+総菜パンをレジに持っていった。これは前にもこのブログに書いた気がする。

 

 セルフレジが普及したとはいえ、未だに完全無人のド迫力精算機を目にしたことはない。

本当に欲しいもの以外の商品を、「自己開示」のカモフラージュとしてカゴにぶち込むことも多々ある。

買い物カゴを通して、「自分がどんな人間なのか」を覗かれる気がしてひたすらに怖い。そういう話。